胚移植について

初期胚移植

受精した胚を採卵から2〜3日培養し、分割が進んだのを確認し、子宮に戻すことを初期胚移植といいます。
移植する胚は最も形態の良い胚から順に移植します。
もっとも一般的な移植方法で、胚移植のキャンセルも少ないため、初めて体外受精を受けられる方にお勧めしています。

初期胚移植

胚盤胞移植

胚盤胞移植とは?

初期胚移植で妊娠に至らない場合には分割胚をさらに培養(採卵から5〜6日)し、「胚盤胞」になるまで発育させてから胚移植を行います。この方法を胚盤胞移植といいます。

胚盤胞の後期に成長すると、将来胎児になるところと、胎盤になるところがわかるようになってきます。
以前は、培養液の問題で胚盤胞まで培養することは困難でしたが、最近では新しい培養液が開発され培養が可能になりました。

しかし、培養した全ての胚が胚盤胞になるわけではなく、胚盤胞にたどり着けるのは約40〜50%です。このように、胚盤胞にたどり着くことができれば、初期胚より妊娠の可能性の高い胚を選別することができます。

また、自然妊娠の場合、卵管で受精した胚は分割を繰り返しながら胚盤胞になる頃に子宮にたどり着きます(妊娠成立)。
胚盤胞を移植することで、より自然な着床時期に子宮に胚を戻すことができます。よって、1個の移植胚あたりの着床率は初期胚よりも高くなります。
胚盤胞の培養を続けるのは採卵から6日目までになります。
6日目に胚盤胞に発育した場合に、胚移植すると妊娠率が低下することが明らかとなっていますので、6日目に胚盤胞に発育した場合には胚移植を行わず、凍結保存して次周期以降に融解胚移植されることをお勧めしています。

胚盤胞移植の適応となる方
初期胚移植で良好胚を移植しても妊娠に至らなかった方
初期胚の段階で良好と判断された胚が必ずしも胚盤胞に発育できるわけではありません。
胚盤胞移植を行うことで、体外で胚盤胞に発育できたか確認してから移植することができます。
1個移植を希望される方
胚盤胞に発育すれば、初期胚移植よりも着床率が増加します。
胚盤胞移植のメリット
胚の選別
胚盤胞まで培養することで、より正確に良好な胚を選別することができます。
高い着床率
自然妊娠の場合、卵管で受精した胚は分割を繰り返しながら胚盤胞になる頃に子宮にたどり着きます。
胚盤胞を移植することで、より自然な着床時期に移植することができます。
子宮外妊娠の予防
通常、子宮外妊娠の可能性は2〜5%ですが、胚盤胞移植では1%以下となります。特に卵管因子の方には有効です。
胚盤胞のデメリット
胚移植のキャンセル
胚盤胞にまで発育できるのは受精した胚の40〜50%といわれていますので、胚盤胞にならなければ胚移植がキャンセルとなります。
胚盤胞移植

2段階胚移植

2段階胚移植とは?

2段階胚移植では、初期胚移植と胚盤胞移植を同じ周期に行います。
採卵後2〜3日目に初期胚を移植し、5日目に胚盤胞を移植します。この方法は、最初に移植した初期胚が子宮内膜に作用して着床の準備を進め、胚盤胞を移植することで妊娠率が上昇すると考えられています。
移植数が2(〜3)個になるため多胎妊娠になる可能性が高くなります。
また、日本産婦人科学会の規定により過去の体外受精実施回数や奥様の年齢によっては2段階胚移植をできない場合もありますのでご了承ください。

2段階胚移植の適応となる方
以前の体外受精で胚盤胞移植がキャンセルになった方
初期胚移植を行い、残りの胚を胚盤胞まで培養するため、胚移植のキャンセルなしに胚盤胞に発育できるか確認することができます。
胚盤胞移植で妊娠に至らなかった方
初期胚が子宮内膜に作用して着床の準備を進め、胚盤胞を移植することで妊娠率が上昇すると考えられています。
2段階胚移植のメリット

初期胚移植を行い、残りの胚を胚盤胞まで培養するため、胚移植のキャンセルなしに胚盤胞に発育できるか確認することができます。

2段階胚移植のデメリット

移植数が2(〜3)個になるため多胎妊娠になる可能性が高くなります(第2子不妊の方や、双胎を避けたい方にはお勧めしません)。

2段階胚移植